当記事ではスカイウォードソードのネタバレを含みます。また、断定的な記述以外は個人的な所感も含みます。
終焉の者、それは諸悪の根源。
スカイウォードソード以降は消滅したとされ姿こそ存在しないが、その憎悪と怨念は一万年以上経ってもなおハイラルを蝕んでいる。
そんな悪の絶対的な存在である終焉の者とは一体何者なのだろう。
作中、資料集にもそのルーツについては書かれていない。
作中で得られる情報と想像を交えながら、終焉の者という存在について考えてみた。
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終焉の者は何者?
■ギラヒムの創造主
終焉の者を語る上で欠かせないのが魔族長ギラヒムだ。
ギラヒムという存在は終焉の者のルーツを探る上で大きな意味を持つ。
魔族長にして剣の化身。
ギラヒムは終焉の者の剣に宿る精霊、つまりファイと対をなす存在なのだ。
ファイは女神ハイリアによって創造されたマスターソードの精霊だ。
ならば、ギラヒムもマイマスターである終焉の者によって創造されたのではないだろうか。
ファイを創造した女神ハイリアが『神』であるならば、ギラヒムを創造した終焉の者もまた『神』なのではないだろうか。
■終焉の者は神ではない
ところが、神とするにはひとつ問題がある。
女神ハイリアの時代、平和だった地上に突如地の底から魔物群が現れ、世界は一変する。
魔物群の長、終焉の者の狙い。
それは『万能の力 トライフォース』であった。
すなわち、終焉の者はトライフォースを扱える立場であり、神ではないということを意味する。
早くも終焉の者=神説は破綻するわけだが、終焉の者についてもう少し踏み入って考えてみる。
■終焉の者の起源
終焉の者は突如地の底から現れたとされているが、ディンが創造した大地深くに魔の芽でもあったのだろうか。
おそらく終焉にも誕生のルーツがあり何かから生み出されたのであろう。
無から湧くのは宇宙だけだからだ。(知らんけど)
そんな疑問の呟きを以前したところ、『魔王や悪魔というのは神が堕天した存在をさすこともある』と教えていただいた。
それはまさに神の如く、非常に納得のいく解釈だった。
そこで、"終焉の者は元々は神であり、堕天して魔の根源となった"のではないかという説が見えてきた。
怨みの矛先である女神ハイリアによって、神の座を追放されたのではないだろうか。
■堕天した神
堕天に女神ハイリアが関わっていると考える理由は単に怨みの矛先だけではない。
実際に女神ハイリアによって堕天した神が存在するからだ。
ブレスオブザワイルドのハテノ村の悪魔像だ。
悪魔像は元々は『金と力を司る神』であった。
しかしその力を正しく扱わなかったため女神ハイリアによって悪魔像の姿に変えられてしまった。
それだけでは飽き足らなかったのか、わざわざ鳥の群れが飛び回る祠の近くに置かれそのフンに耐え続けるだけの人生を強いられているのだからよほどのことをしてのけたのだろう。
そのような神をも制する力を持つ女神ハイリアだからこそ、終焉の者も同じく女神ハイリアによって堕天させられたのではないかと思うわけだ。
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もしくは、自らの意思で神の身を捨てたという可能性も考えられる。
トライフォースは神に扱えないのであれば、それは神にとってはただの三角でしかない。
事実女神ハイリアがそうしたように、トライフォースを扱うために神以外のものに転生したのかもしれない。
いずれにしろ、神から悪魔へ。
天から地へ。地の底で、かつての神は終焉の者として生まれ変わったのかもしれない。
神である根拠
お察しの通り私は終焉の者が神から堕天した説を推しに推している。
さらにその説を裏付ける為、根拠となりそうなものをあれこれ考えてみる。
■話せば分かり合えそう
さすが魔の根源というだけあって、振る舞いから話し方まで全てにおいて貫禄がある。
これまで対峙してきたラスボス達は、大抵は怒りや憎しみに暴走してしまうのがオチだ。
ところが終焉の者はどうだろう。
戦いの前に存分に猶予を与えてくれる余裕。この場に及んで善の理性。
その上女神ハイリアに強い敵意を剥き出しにしながらも「気高く凛々しかった」と称賛しているのだから驚きだ。
自分と敵対する存在は無条件に醜く見えるものではないだろうか。
終焉の者でさえ女神ハイリアは美しく映るのであろうか。
殆どのラスボスは敗北した後、精々「覚えておれ〜」が関の山だが、終焉の者は違った。
「我を凌駕せし強き人間よ。見事だ。」
イケメンが過ぎるのだ。
これが死に際の魔の根源が放つ言葉だろうか。
徹底した悪というのは、大抵善が何かを知っている。
悪を極めるには善を理解している必要があるからだ。
終焉の者は、"神の尊さ"を知っているのではないだろうか。
だからこそ、女神ハイリアやリンクを称える言葉が自然と出てきたのではないかと思うのだ。
■トライフォースの紋章
終焉の者の剣、そこには逆さになったトライフォースが描かれている。
この剣は資料集によると"悪いマスターソード"をイメージしているそうだ。
逆さとはいえトライフォースの紋章
悪いとはいえマスターソード
単なる剣とはいえなさそうだ。
逆さトライフォースといえば、『神々のトライフォース2』の世界ロウラルが思い浮かぶ。
そこは唯一ハイラル以外でトライフォースが存在する世界。
逆さとはいえ、れっきとしたトライフォースだ。
終焉の剣の紋章がロウラルと関わりがあるかはさておき、そこにトライフォースが描かれていることに注目したい。
例えば終焉の者はロウラルのようなハイラルの対となる異世界の神だったのかもしれない。
女神ハイリアのように、終焉の者もその世界でトライフォースの管理を任されていたのかもしれない。
終焉の者が堕天せず神のままであった世界線が、ロウラルだったりするのだろうか。
■女神の魂
数千年もの間封印されていた終焉の者が復活するには聖なる巫女であるゼルダが必要不可欠であった。
それは、ゼルダが『女神ハイリアの魂』を持っていたからだ。
ギラヒムは女神ハイリアの魂を使い終焉の者の復活を成し遂げた。
すなわち、終焉の者の魂なのか力なのかは分からないがとにかく復活に必要なエネルギーは女神ハイリアの魂と互換性があるということだ。
魔のエネルギーを解放するために魔を喰らうというセオリーは終焉の者には通用しない。
終焉の者は女神ハイリアの魂を喰らうことで肉体を取り戻したのだ。
それは、終焉の者も神の魂に通ずるものを持っていたからではないだろうか。
■終焉の者の造りし亜空間
ラストのフィールドは魔の力に支配された亜空間だとされている。
ここは終焉の造り出した世界。
この空間はどこか時オカのラストを彷彿とさせる、清々しく澄んだ世界。
太陽を見つめる。
この景色は終焉にとっての憧憬だろうか。
口調は穏やかだ。
神の一族への憎悪は激しい怒りとなり
全てをリンクへ向ける。
澄んだ空に響く轟音。暗転。
そして、地獄。
かつて神から堕天した自分自身のように。
そんな気がしたのだ。
終焉はこの景色を見ながら何を想ったのだろうか。
最期はこの景色を見ただろうか。
トライフォースは"善悪の判断をしない"
それゆえに、希望は魔族にまで与えられる。
善悪の二極化は人間のエゴの上に成り立つものだ。
魔の根源とはなんなのか。
それは本当に悪なのか。
この世界は、時に深遠な問いを投げかけてくる。
≪参考書籍はコチラ≫
ゼルダの伝説 30周年記念書籍 第2集 ゼルダの伝説 ハイラル百科
ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説 大全: 任天堂公式ガイドブック
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