【スカウォ考察】女神ハイリアの真意

当記事はスカイウォードソードのストーリーのネタバレを含みますので、その旨を十分にご留意の上お読みください。

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スカウォはゼルダ史始まりの物語とだけあってマスターソードの誕生やハイラルの創世などそのストーリーもまた濃密なものとなっておりますが、個人的に最も印象的だったのが"ゼルダが女神ハイリアの生まれ変わりであった"というところです。

 

スカウォ初プレイの頃はゼルダ史なんてなんのこっちゃでしたからその事実には衝撃を受けましたし、これまで意識したこともなかった"ゼルダの伝説"というタイトルの意味もこの作品で理解することができました。

 

女神ハイリアが人間に転生した理由も実に興味深いものでした。

 

終焉の者を消滅させる為に、トライフォースを使うことを決意した女神ハイリア。

 

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しかしトライフォースは神には扱えないため、不老の肉体を捨て人間へと転生するわけです。

 

 

女神ハイリアはトライフォースを使う為に転生したのです。

 

 


そうです。

 

女神ハイリアはトライフォースを使っていません。

 

人間に転生したにも関わらず、実際にトライフォースを使ったのはゼルダではなくリンクでした。

 

女神ハイリアはトライフォースを使う為に人間になっておきながら、なぜ自分自身で使わなかったのでしょう。

はなから自分ではなく勇者が手にすることは決まっていたのでしょうか。

ならばなぜ人間に転生する必要があったのでしょうか。

 


女神ハイリアが人間に転生したその真意とはなんだったのでしょう。

 


それらの疑問を考えるため、まずは女神ハイリアが終焉の者を消滅させる為に講じた「2つの策」をおさらいしたいと思います。

 

 

女神ハイリアの2つの策

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終焉の者との戦いで女神ハイリアは見事打ち勝ちそれを封じました。

しかし、その封印は長く持たないことは明らかでした。

その上女神ハイリアは深傷を負っており、もし次に終焉の者が復活することがあればこの世界は終わってしまう。

 

そこで、女神ハイリアは2つの策を講じます。

 

ひとつは、ファイを創造することです。

ファイを創造したのは、勇者が数多の試練を乗り越え最終的に終焉の者を撃退するまでの道のりをサポートするためです。

 

そしてもうひとつは、女神ハイリアが人間に転生することでした。

人間に転生した理由は、女神ハイリアはトライフォースを使って終焉の者を完全に消滅させようと考えたのです。

 

この策によって、数千年の後に終焉の者を消滅させることができました。

 

 

ファイは勇者を導き、勇者はトライフォースを手に入れ大地に平和が戻りましたが、果たしてそれは女神ハイリアが想定していた流れだったのでしょうか。

 

前述の通り、女神ハイリアはトライフォースを使うために転生したにも関わらず、トライフォースを使ったのはリンクでした。

 


初めからリンクがトライフォースを使うことが決まっていたのだとすれば、神としてリンクを導く方法ではいけなかったのでしょうか。

女神ハイリアはトライフォースに"自らが触れる"覚悟ではなかったのでしょうか。

 

色々考えを巡らせているうちに、女神ハイリアの計画がようやく理解できたような気がします。

 

女神ハイリアの計画

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女神ハイリアの計画ではトライフォースは元々勇者が手にすることが決まっていたと考えます。

というのも、トライフォースへの鍵が"勇者の詩"と題されていますので、元よりゼルダではなく勇者が手にすることは決められていたのでしょう。

 

さらには、女神ハイリアが勇者にファイと女神の剣を託した理由は「終焉の者の撃退」とされていますが、ゼルダはそれを理由の"一つ"だと言っているのです。

理由は他にもあるんですね。

恐らく勇者に剣を託したのは「トライフォースを手に入れるため」でしょう。

 

 

では、なぜ女神ハイリアは初めから自分ではなく勇者を選んでいたのでしょうか。

 

 

ゼルダには重大な使命がありました。

過去に戻ってハイリアの神殿で眠りにつき、終焉の者の封印を安定させなければなりませんでした。

それはスカイロフトでゼルダとリンクが生を享けるための最重要事項です。

 

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ゼルダは「終焉の者が完全に消滅したら封印は必要なくなり目覚めることができる」と言っていることから、ゼルダがトライフォースを手にすることはできないと初めから想定していたと推測します。


ですから、この計画には終焉の者に立ち向かえる協力者が必要となり、トライフォースは勇者へと託されたのではないでしょうか。

 

 

しかし、トライフォースを手に入れられるのは強き魂を持つごく限られた人物のみであり、勇者がそれを使うに値するかは女神ハイリアもある意味賭けだったのではないでしょうか。

 


だから女神ハイリアはそれを確実にする為に、心苦しくもこのような決断をしたのではないでしょうか。

 

 

 

ゼルダに与えられたもう一つの役割。

 


女神ハイリアは、リンクがゼルダを助ける為にあらゆる困難や試練に身を投じてくれるように…

 


利用した。

 

 

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幼馴染として共に過ごし、いつしか二人は想いを寄せ合うようになりました。

 


ゼルダにとってはリンクへの想いはまやかしなんかではありませんでした。

 

 

自分の気持ちに素直で、少し積極的で。

 

 

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でも、これもリンクが勇者になるために女神ハイリアが計画したものだったのかも知れません。

 


世界の命運を賭けた戦いに打ち勝つための。

 

 

 

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真実を告げるゼルダがこのような表情を浮かべるのも無理はありません。

女神ハイリアとゼルダ、きっと二つの人格の狭間で苦しんでいたのでしょう。

 


ゼルダはかつての自分が定めた運命を憂えて、

「このような運命に巻き込んでしまってごめんなさい」と何度もリンクに謝り、この地で眠りにつくことを自分への「罰」だと言ったのではないかと思いました。

 

強さとは

 

そんなこんなで私の結論としては、

『女神ハイリアがトライフォースを使うため人間に転生した』というのは、人間になって自分がトライフォースを使うわけではなく、"人間に使わせるために人間になる必要があった"という解釈です。


選ばれしものを真の勇者として目覚めさせ、トライフォースを手に入れ終焉の者の消滅を願ってもらう。

それが女神ハイリアが人間になった本当の理由ではないかと考えました。

 

 

実際にトライフォースを手にしたのはリンクでした。

しかし、スカイロフトの伝承には『巫女と共に強き光で大地を甦らさん』という言葉があったり、ハイラル百科には『ゼルダと勇者がそれぞれトライフォースを扱う資格を得ていく』『ゼルダは勇者と共にトライフォースを手にした』と、まるでゼルダも一緒にトライフォースを手にしているかのように書かれています。


これに関しては知識不足によりなぜそう書かれているのか分かりませんでした。

ですので想像にはなりますが、リンクをここまで導いたのは他ならぬゼルダであり、運命を共にしたゼルダとリンクが二人で手に入れたトライフォース、という風に伝承として残されているのでしょうか。

 


また、女神ハイリアは神として勇者を導くだけではトライフォースを手に入れることができないと苦渋の決断に至った理由として、スカウォのキャッチコピーにもなっている

”大切な人の、助けになりたい”

という気持ちが人の心を強く突き動かすことを知っていたのではないでしょうか。

 

単に勇者として神の命に従い世界を救うのではなく、誰かの為に立ち向かうからこそ湧き出る力や勇気がリンクを真の勇者へと成長させた。

 


それはなんとなくブレスオブザワイルドにも通ずるものがあると感じました。

 


ゼルダ覚醒のきっかけとなったのもやはりこの気持ちがあったからだと思うんです。

 

 


とある歌詞を思い出しました。

 

 

『強さとは 愛なんだ』

 

 

 

≪参考書籍はコチラ≫

ゼルダの伝説 30周年記念書籍 第2集 ゼルダの伝説 ハイラル百科

ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説 大全: 任天堂公式ガイドブック