約2年前に公開されたブレスオブザワイルド続編トレーラー
不気味なBGMは心臓の鼓動とともにどんどん加速し、最後はミイラ(ガノンドロフ)復活を示唆するようななんとも不安と焦燥感に駆られるトレーラーでした。
この不気味なBGMについて改めて考えてみたいと思います。
何かの曲の引用なのか?
これは"言葉"なのか?
色々気になることはあるけれど、
このBGMについて調べていると『逆再生』というワードがもれなく付いてきます。
何故そう言われているのかは存じませんが、私も逆再生論者のひとりです。
理由は、単にゼルダ作品は音楽による表現方法が非常に多彩であり、中でも『逆再生』はとても有名だから。
他の理由もいくつかありますがそれは後ほど記述します。
しかし、本当にこれは逆再生なのか?という疑問が湧いてきました。
逆再生というワードに知らず知らずのうちに囚われていたのかもしれません。
ですので、
今回はこの1stトレーラーのBGMが果たして『逆再生なのか』を検証したいと思います。
はじめに
ここに書き記すものは音楽の専門知識を持たない素人による検証結果であって確実な根拠となるものではありません。
また、これらは1stトレーラーのBGMの検証であって2ndトレーラーについての検証ではありません。
やたらと多用するBGM
続編1stトレーラーで流れるBGMは、6/16のニンテンドーダイレクトE3で新たに公開された2ndトレーラーのBGMにも含まれています。
まずは問題のBGMを聴き比べていただきたく。
該当箇所から再生できます
たった9秒(任天堂公式YouTubeにて)とはいえ、2ndトレーラーも同じBGMが使用されていることからこのBGMは「意味のないもの」ではなかったというのが個人的見解です。
更にいうと1stトレーラーの後半部分のピアノパートでもリズムは違えど音の並びがほぼ一致しています。
合計3分足らずの映像の中で3箇所も使用されているこの旋律。
何故そんなにもこだわるのか。
ここまで強調するのだから、単なるBGMというわけにはいかないでしょう。
逆再生と感じる理由
1stトレーラーのBGMはどこか逆再生のような違和感を感じます。
その違和感の正体がなんなのかは音楽専門ではないので分かりかねます。
例えるならば、
・音と音の間に吸い込まれるような空気感(間)がある
・曲としては旋律の運びに美しさがなく意味をなさないように感じる
などの理由から、本能の片隅にそうした"何か"を感じたのであります。
ですからこれまで再三にわたりトレーラーを逆再生にしてリズムを変えて弾いてみたり、旋律が符合する曲を探してみたりと思い付く限り色々と試してきました。
そうするうちに、いつしか逆再生であることが前提として考えるようになっていました。
正直このBGMは単調なリズムとある程度均等な幅の旋律であるため逆再生にしてもあまり変化はなく、今では元の音楽と逆再生が混同してしまうほどです。
そして私はやらかしていました…
2ndトレーラーは1stトレーラーの逆再生ではない
そんな理由から、2ndトレーラーの問題部分のBGMを初めて聞いたときそれは1stトレーラーの逆再生だと思いました。
しかし改めてスローで聴いてみると、逆再生でもなんでもなく1stトレーラーを移調しただけのものでした。
私はとんだ勘違いをしていました…
2ndトレーラーを見たあとブログやTwitter、YouTubeでも『逆再生や〜』などと言ってしまっていたのであります。
訂正のため改めて書いておきます。
2ndトレーラー後半部分のBGMは1stトレーラーのBGMを移調したものが素直にそのまま使われているものと推測します。
移調に関しては、他のBGMでも雰囲気の変化における転調であったり曲同士を繋げる上で当然のように用いられています。
よって移調に特別な意味はないと推測します。
1stトレーラーのBGMは逆再生なのか検証してみる
ようやく本題に移ります。
では、『そもそも1stトレーラーのBGMは逆再生なのか』を検証してみました。
方法はとても原始的で、
1.似たようなコーラス音でBGMを弾いてみる(A)
2.逆にしたものを弾いてみる
3.2を逆再生(通常通り)にして聴いてみる(B)
AとBのBGMにどれほどの違いがあるのか、
Bの方がより1stトレーラーのBGMに近ければ、1stトレーラーのBGMは逆再生である可能性が高くなります。
ということで
こちらが検証結果です。
音の切れ目を作る為あえて八分音符にし、音階は全て野生の感でキャッチした。つまりは正確さの保証はないということ。
どうでしょうか
正直AもBもトレーラーのBGMとさほど大きな違いはないように思いますが…
ただ若干、Bの方が逆再生による音の伸びや吸い込まれるような感じが1stトレーラーに近いような気がしました。
よって、1stトレーラーのBGMが逆再生である可能性については、『考える余地はありそう』という検証結果になりました。
実際には更に多くの要因が重なり合っているのでこれだけで判断するには不十分です。
このBGMを逆再生と捉えるかは個人の判断に委ねるといわんばかりの、考えれば考えるほど錯綜するBGMなのでした。
最後に…
ゼルダの伝説における"逆再生"は、単なる逆再生だけでなくストーリーにまで意味を持たせ、他作品では大きな話題を呼びました。
その技術はプロのサウンドチームの方々のなせる技であり私には到底理解が及びません。
音の一つ一つが情景や心情に合わせて機微な変化を伴い、ブレスオブザワイルドという素晴らしい世界観をここまで表現できるのかと何度も心を動かされたものです。
きっとブレスオブザワイルド続編の音楽もこのような多彩な表現を用いた作品となっていることと思います。
ちなみに、先程のBGMは何の引用曲なのかということについてですが、現在のところ完全に一致するものを見つけられずにおります。
ブレスオブザワイルドのBGMは全曲の4分の1に過去作の曲が使用されているそうです。
(参照:THE MAKING OF ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド [オープンエア] - YouTube)
それだけ過去作との繋がりを意識されているということでしょう。
これを続編にも当てはめるならば、このBGMが何かの引用である可能性は25%ということになります。
つまりは75%の確率で全くの新しい音楽であるということです。
それでも私達は淡い期待を抱いて膨大な曲の中から似通ったものを探し続けてしまう。
ゼルダに魅了された者の宿命ですね。
このBGMは何の曲なのか、どのような意味が込められているのか、不穏な旋律がどのようにして一つの音楽として形を成すのか、明らかになる日がとても楽しみです。
ということで、最後までお付き合いいただきありがとうございました!