【時のオカリナ考察】オープニングの本当の意味を知っていますか?

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時のオカリナのオープニングは、個人的に数あるゼルダの作品の中でも最も印象的なものであります。

 

物寂しいBGMと、夜明けの静かなハイラルをエポナと共に駆ける映像は、冒険というよりも、どこか穏やかな哀愁さえ感じるものであります。

 

 

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皆さんは、時のオカリナのオープニングの本当の意味を知っていますか?

 

存在するはずのない世界

 

大人時代のハイラルはどんな世界だったか憶えているでしょうか。

ハイラル城はガノンドロフの手中に落ち、城の周囲は常に不穏な空模様。

城下町は崩壊してリーデッドの住処となり、デスマウンテンは禍々しい雲に覆われていました。

 


ところが、オープニングの大人時代のリンクがエポナと駆けるハイラル平原は、先程の様子とは異なります。


デスマウンテンの雲は平和の象徴とされるドーナツ雲。

城下町も崩壊していない上、コキリの森の入り口やゾーラ川下流には作中では存在しない木まで生えています。

 


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(あるはずのない木)

 

 

そして、ナビィがいないのです。


エポナに乗っている時はナビィが隠れていることが多いのは確かですが、オープニングという最も印象に残る映像に、一度たりともナビィが出てこないのは不自然ではないでしょうか。

 


大人時代とは明らかに異なるハイラルと、見当たらないナビィ。

 

 

"ガノンを倒した後の平和になったハイラルでは?"とも考えてみましたが、

リンクはガノンを倒し、封印した直後に7年前に帰還します。


つまり、そもそも大人時代の平和になったハイラルにリンクは存在しないのです。

 

 

このように、あの穏やかなオープニングは作中と比較してみると非常に不可解な映像であることが分かります。

 

 

 

オープニングとは、時のオカリナでは存在しない世界なのではないでしょうか。


実はこれらの全ての矛盾が成立する世界があります。


オープニングの映像は7年前に帰還したリンクの未来。

すなわち、子供時代のリンクが純粋に歳を重ね大人になった世界です。

 

 

ナビィがいないのは、冒険の最後で別れたままだからだと推測できます。

子供時代のリンクはその後ガノンドロフの陰謀を阻止し、ハイラルの平和は守られました。

 

崩壊することのなかった城下町、ヴァルバジアが復活しないデスマウンテン、別世界であることを示唆するかのように大きく映し出された新たな木。

 


平和になった子供時代の未来だと考えると、全て辻褄が合うように思います。

 

 

ちなみにエンディングでは、大人時代の平和になったハイラルが描かれていました。

時系列でいうと、エンディングは大人ルート、オープニングは子供ルートの出来事ということなります。

 

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※時のオカリナから分岐する時系列(一部省略)。ムジュラの仮面は時のオカリナの数ヶ月後なので子供時代の大人リンクはムジュラの仮面より後に存在する。

 


私たちは時のオカリナを始める以前に、既に世界線が分岐した未来を見せられていたのかもしれません。

 

 

時のオカリナで世界線は三つに別れパラレルワールドとなりましたが、その世界はどれも実際に存在している世界であり、どれかが"本当の世界"とはいえないのです。


エンディングは大人時代の、オープニングは子供時代の、それぞれの世界線で平和となったハイラルを描いているのだとしたら、実はオープニングこそ、真のエンディングだったのかもしれません。

 

 

 

 

マスターソード

 

先程は矛盾点としては触れませんでしたが、リンクが所持しているマスターソードも不可解な点ではあります。

 

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帰還した世界ではマスターソードは時の神殿に安置されており、聖地への入り口が解かれないよう厳重に守られているはずです。


ゼルダは聖地への入り口を開いてしまったことを大変後悔していましたから、その過ちを繰り返さないようマスターソードと時の扉は王家によって固く閉ざされていたはずです。

 


それを、何故リンクが持っているのでしょう。

 

 

時のオカリナのリンクはムジュラの仮面の後、どうなったかは依然として謎に包まれたままですが、リンクが大人になって再度マスターソードを引き抜かなければならないようなハイラルの危機が訪れたのならば、どうにか説明はつくのではないでしょうか。


ムジュラの仮面からトワイライトプリンセスまでの数百年の空白の時代に、もしかしたら私たちがまだ知らない伝説があるのかもしれません。

 

 

 


夢の世界

 

オープニングよりも更に不思議な絵があります。

時のオカリナ3Dのパッケージにもなっているメインビジュアルです。

 

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この場面は大人リンクがハイラル平原をエポナと駆けるという、オープニングとほぼ変わらぬ構図ですが、オープニングと2点違いがあります。

 


ハイラル城が見えることと、ナビィがいること。


大人時代はハイラル城はガノン城に変貌していますし、これもまた大人時代ではあり得ない光景なのです。


この絵は、細かいことには囚われずアートとして描いたものなのでしょうか。

だとすれば、メインビジュアルですからハイラル城やナビィがいるこの絵は作品の顔ともいえます。

 


美しきハイラル城はこの国の象徴。

壮大なハイラル平原をエポナと駆け抜ける。

そして、側にはかけがえのない友、ナビィ。

 


作中では決して見られないこの景色こそ、リンクが思い描く夢のハイラルなのかもしれません。

 

 

 

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