タバンタ地方に集落を構える鳥亜人リト族。
今回はそのリト族についての歴史や種族性、そしてパラセールやオルドラとの関係も考えていきたいと思います。
リト族の誕生
その名の通り「トリ」のような見た目をした亜人種。
リト族の歴史は『風のタクト』の時代に遡ります。
(ハイラル史 時系列)
種のルーツを辿ると、元はゾーラ族であったことが判明しています。
風タクの前の時代である「時のオカリナ」には、ハイリア人と友好的な関係の水の民、ゾーラ族がいました。
しかしその後、時の勇者勝利 大人ルートでは、なんとハイラルは王国ごと水没してしまうのです。
しかも水没したその海は、生き物の住めない海域となってしまいました。
難を逃れ生き残った一部のゾーラ族は、やがて泳ぐことをやめ、100年をかけて空を飛べる種族に進化しました。
それが、リト族の誕生です。
素晴らしい環境適応能力ですね。
リト族は誰でも空を飛べるわけではなく、竜の島に住む精霊ヴァルー様にウロコを貰う必要があります。
ヴァルー様にウロコを貰うと、翼が生えて空を飛ぶことができるのです。
ブレスオブザワイルドのリト族は皆ほぼ鳥に近い見た目ですが、風タク時代では子供はまだ翼がなく、どこか人間ぽくもある見た目をしたリト族もおり、まだ生態系が安定していないことの現れなのかもしれません。
リト族の生活や種族性
リト族は保温性に優れたカラフルな羽毛を持つことから、その羽毛を使って様々な日用衣類品を生産する織物業を生業としています。
羽毛は小さい子供が季節の変わり目に抜け落ちる貴重な柔らかい毛を使用しているらしく、決して残虐な製法ではないことをハックがアピールしています。
リトの村は高地にあり空を飛べるリト族にとっては難なく暮らせる場所ではありますが、当然ながらこの地形はハイリア人には向かず観光業もあまり盛んではないため、この地にやってくる人がほとんどいないのはそのためだそうです。
族長はカーンという大きなフクロウのおじいさんで、ゼルダのフクロウといえば"知恵"や"賢者ラウル"を想像しますね。
100年前の大厄災を経験していないカーンですが、その歴史や英傑の見た目、メドーの制御方法までしっかり把握しているところは、カーンが真面目で聡明な導く立場の者であることが伺えます。
フクロウという印象とぴったりですね。
リト族の男性は弓を得意とし、戦士として活躍するものもおり、族長もこう見えて(?)元はリトの戦士でテバの師匠でもあったそうです。
そしてリトの女性は歌に秀でており、村には子供たちの歌声が常に響き渡っています。
ちなみにリトの村特有のカラフルな文様は、「コンドルは飛んでいく」というアンデス地方の民族音楽のイメージから着想を得ているそうです。
リト族における歴史の伝承
ハイラルで各種族の歴史的文献が残されているなか、リト族においてはそのほとんどが空白となっています。
四神獣の名前については、ナボリスとルッタのみ、過去の賢者ナボールとルトから名付けられたことが歴史として残されており、メドーとルーダニアの名前については文献が残っておらず不明のままだそうです。
それは、おそらく独自の文化で歴史を紡いできたゲルド族や、水に濡れても大丈夫なように石碑で文化を綴ってきたゾーラ族たちと比べると、リト族は歴史を形として残す文化または技術がなかったことが大きな要因ではないかと思います。
リト族は、過去の歴史や伝承を歌や詩で伝える文化があります。
勇者のための祠の鍵となる歌も、一万年前から伝わっているものと思われます。
歌で歴史を紡ぐ。
とても素敵なことではありますが、形なきものいつかは途絶えてしまう運命であります。
そうしたことから、おそらくメドーの名前の由来である風タク メドリの活躍も、現リト族の間では名前すら出てこない存在となってしまっているのかもしれません。
パラセールとリト族
パラセールにはリト族の紋章と似た紋章が描かれています。
紋章の意味については過去にこちらの記事で考察しました。
パラセールとはリト族のものなのでしょうか。
誰がなんのために作ったものなのか、その点を考えていきたいと思います。
100年前を描いた作品である「厄災の黙示録」では各キャラクターがパラセールで飛び立つシーンがあり、パラセールにはキャラクターごとに各種族の紋章が描かれていましたが、リンクやゼルダなどのハイリア人についてはブレスオブザワイルドと同じくリト族のような紋章でした。
そのことから、リンクが始まりの台地の老人から受け取ったパラセールは、たまたまその紋章だったわけではなく、100年前より"ハイリア人が使っていた"パラセールであると推測できます。
そして、ハイラル城には下から吹き上げる風に乗って移動しなくては行けない場所が少なくとも2つ以上存在します。
つまりは王族や兵士たちが日頃からパラセールを所持していた可能性も充分に考えられるのです。
ハイラル城に従事する人たちが、パラセールを作る際わざわざリト族の紋章やリト特有のカラフルな幾何学デザインを取り入れるでしょうか?
先程の記事では、この紋章は"リト族とハイラル王家"を表す紋章ではないかと考察しました。
その意味を当てはめると、パラセールはリト族によって王家のために作られたものだと考えることもできるのではないでしょうか。
パラセールは、ハイラル王家への献上品のような形で贈られたものだったのではないかと、そう考えています。
オルドラとリト族
ハイラルを回遊している三龍。その姿を見た人はほとんどいません。
龍を一目拝もうと旅をする人たちがいるのに対し、リト族の間では頻繁に会話の中で登場しています。
リーバルは100年前、神獣繰りとして「オルドラの角を射抜く」という試練をこなしています。
オルドラが"見えている"ことが絶対条件ですね。
そしてナズリーは、オルドラの調査に赴いたり三龍についてとても詳しく名前まで知っています。
(旅人ロンが三龍を見たことがないのにも関わらず名前を知っていたのは、リトの村を訪れた旅人から噂となってどこかで耳にしたのかもしれませんね!)
族長カーンとのオルドラについての会話の"普段とは"の発言からも、日常的にオルドラが見えていることが伺えます。
リト族たちの反応も、龍が見えるからといって特別凄いことではない、そんな様子にも思えます。
人間には見えない龍がリト族には普段から見えているのは、動物的本能でしょうか…。
しかしそれ以外にも、リト族と炎の竜には深い関わりがありましたよね。
精霊ヴァルー様
オルドラとヴァルー様の関連は一切不明で見た目も随分と違いますが、
どちらも炎の龍(竜)の精霊であることに変わりはありません。
かつて炎の精霊にウロコを授かり空を飛ぶ能力を得たリト族。
オルドラが見えるのはその力を授かったことに起因するのかもしれません。
オルドラはオルディン地方だけでなくなぜかリト族の暮らすタバンタ地方まで飛んできます。
これもなにかの縁なのかもしれませんね。
ということで、最後まで読んでいただきありがとうございました!